10年の片想い
美愛のことは、守るから
☆凛side☆
「そうだったんだ……」
車の中、隣に座る美愛が、寂しそうに俯いた。
今あたしと美愛は、海まで迎えにきた高級車によって、家まで送られる途中だ。
ご丁寧に、乱馬全員でお見送りしてくれるという。
お母さん、驚かないかな…。
イケメン好きだからさ、お母さんは。
ちなみにウルフは、警察によって逮捕されたらしい。
何で警察が来たのかは、わからないけど。
「気にしないで。
きっとどこかにいるんだよ」
あたしは美愛を励ます。
美愛には、トウヤが“あの子”ではなかったのを伝えたばかり。
当のトウヤは、再び口を閉じてしまい、誰が話しかけても無視状態。
他の人も、静かに座っている。
凄く異様だけど、何だか慣れてしまった。
「そういえば凛。
トウヤに聞いたの?」
「何を」
「お金の行方」
「…………あっ」
「忘れていたの?
相変わらずドジだね、凜は」
そうだよ!
トウヤ総長なら、聞けばよかったんだよ。
あんなに話してくれたんだからさ!
今は聞けない状況だし……。
あぁ、惜しいことをした!