10年の片想い
「これはどうかなぁ?」
「もしもし美愛さん?
あたしはお人形さんじゃないんですけど?」
「自分が着るのより、人が着るのを見た方が好きなのぉ」
「好きなのぉ、じゃないよ」
まぁ、美愛はファッションセンス良いしね。
美愛に任せれば良いかなぁ。
「うーん。
イマイチしっくり来ないなぁ」
黒を基調にしたゴスロリを着せられ、あたしは溜息をついた。
美愛の方が、絶対似合うのに。
「どうされましたか?」
ふと声が聞こえて、美愛と一緒に振り向くと。
イケメンが立っていた。
黒いスーツを着こなしている、ミルクチョコレート色の髪色。
猫のような、睫毛の長い二重の瞳。
すらりとしていて背が高い。
こんなイケメン、テレビでしか見たことない……。
「と、友達の、洋服…何かしっくり来なくて」
「なるほど。
では少々お待ちください」
胸元に手を当て、ペコッとお辞儀をした彼は、スタスタと奥へ向かう。