10年の片想い
「キラが、校長の……孫?」
美愛が聞く。
聞き間違えではなかったらしい。
「そうだよ。
あれ?言わなかったっけ?」
呑気に聞いてくるキラ。
あたしと美愛は、開いた口が塞がらなかった。
「え?
でも校長の名字、崎原(さきはら)でしょう?
相馬じゃないじゃない……」
「崎原は母親の旧姓。
相馬は父親の姓なんだ。
つまり三金高校校長は、母方の祖父になるんだ」
崎原校長のお孫さんがキラだなんて…。
校長はお孫さんが大好きだと評判。
一部の生徒には、親馬鹿ならぬ祖父馬鹿校長って言われているほど。
校長室の机の上には、お孫さんの写真が沢山飾られているとは聞いていたけど。
まさかそのお孫さんが、キラだったなんて。
「まぁ、ボクが校長の孫だってことは、トップシークレットだから。
公には出来ないでしょ?
校長の孫が暴走族・乱馬の幹部だなんて。
だから、凜ちゃんと美愛ちゃんも、内緒にしておいてね」
あたしと美愛は頷いた。
その時、運転手さんが家の下に着いたことを教えてくれた。
あたしたちはお礼を言い、車を出た。
キラ、ソラ、ウミだけ手を振ってくれた。