10年の片想い
☆☆☆
「しかし驚いたよねー。
まさかキラが、校長の孫だなんて」
『しかもそれを知っているの、話しぶりからして私と凛と乱馬だけじゃない?
何だか乱馬の姫って感じがして、凄く嬉しいかも』
お風呂あがり、あたしは美愛と電話していた。
ベッドに天井を見ながら寝転がり、美愛と電話するのは日課だ。
お母さんも美愛のお母さんも、了承してくれている。
「そういえば美愛、あたしトウヤに言っちゃった。
あたしたちが施設出身だってこと」
『そうなの?
別に気にしないで、私は構わないよ』
「そこでトウヤから聞いたんだけど。
トウヤたち、幼馴染なんだって」
『幼馴染?
私たちと一緒だね。
幼馴染ってわかると、あの仲の良さもわかるかも』
仲の良さ、か。
確かに乱馬には、あたしや美愛が入れない、乱馬だけの空間がある気がする。
何だか流れ?であたしたちは姫になっちゃったけど。
姫であるあたしたちも、入れない、秘密の空間がある気がしてならない。
「あと、本当は喧嘩とは程遠い人間だとも言っていたよ」
『トウヤが九条院財閥の人間とか、キラが校長の孫とは聞いたけど。
他の人たちも、何かあるのかもね』
「多額の寄付金を積んでいるってキラ言っていたからね。
他の人も、多分九条院財閥並のお金持ちなんだよ」
どんな家柄かは想像つかないけど。
予想だけど。
きっとカオリの家は、作法に厳しい家。
あの口調や目つきは、一般家庭で養えない。
キラも何だかお金持ちって雰囲気がする。
校長の孫ってだけの家柄じゃない気がする。
ソラとウミは。
正直2人だけの世界にいつもいるから。
想像がつかないな……。