10年の片想い
そんな美愛が言うんだ。
怪しい部分、危ない部分に踏み込んでしまいそうだ。
だけど。
「あたし、もっと乱馬について知りたい」
『凛……?』
「あたしの言い分だけどね。
今日、あのお屋敷内に入って、乱馬のメンバーの正体を聞いた時から、あたしたちは踏み込んでいる気がするんだ……」
『凛……』
「乱馬全員が、何か大きな秘密を抱えている気がするの。
あたし、それが知りたいって思うんだ……。
美愛を巻きこもうとは思わないよ。
だけど、あたし…美愛も一緒に来てほしい
美愛は大事な、親友だから……」
暫くの間の後、美愛は電話口でクスッと笑った。
『確かに、もう踏み込んでいるよね。
後には引けないと思う、私も』
「美愛……」
『凜。
私も凛と一緒に行く。
物心ついた時から、私は凛と一緒にいるんだよ?
オトナになっても、私は凛と親友でいたい』
「美愛っ……」
『しかも凜、守ってくれるんでしょ?私のこと』
“あたしが、みあちゃんをまもるから”
今の家にお互い養子に出るとき、あたしが美愛に言った言葉。
美愛は今でも、覚えているんだ。
「当たり前でしょ。美愛!」
『一緒に乱馬の秘密、探ろうね!』
例え自分たちにとって辛い現実があったとしても。
あたしは目を逸らさないでいようと思う。
ただその代わり、美愛は守る。
あたしは再度、誓ったのだった。