10年の片想い
第4章
お姫ちゃん
☆NOside☆
乱馬が“たまり場”として使うお屋敷。
その中の一室には、夜7時なっても電気の消えない部屋があった。
その部屋はお屋敷の最上階・3階にあり、本日付で乱馬の姫となった久留米凛と田島美愛は知らない部屋だった。
部屋は、電気がついているため明るいものの、流れている空気は暗いものだった。
「何しているんですか」
静まり返った室内でようやく声を発したのは、乱馬の副総長・姫神宮花桜梨だ。
彼は常に冷静で、どんな時も敬語口調を崩さないが、怒らせると1番怖い人であった。
「…反省しています……」
カオリに睨まれ、しゅんと肩を落としているのは、乱馬の幹部・相馬雲英。
常にヘラヘラとしていて、乱馬の中では最もチャラい人物だ。
ただし今は、ヘラヘラしている場合ではないことを、成績最下位のキラでもわかる。
「後先考えないで進めないでいただけますか」
「だってカオリ、何も言わなかったじゃん……」
「「人のせいにしたー!」」
相変わらず揃っているのは、双子で乱馬の幹部・虹見羽美と奏楽。
凛と美愛の前ではあんまり話すことのない2人である。
それもそのはず。
凛と美愛も薄々感づいてはいるようだが、双子は他の人間を決して近寄せない雰囲気を持っているからだ。
それは、乱馬のメンバーであっても、容赦ない空気を作りだしている。