10年の片想い
「めっちゃかっこよくない?」
「うんうん!」
美愛に聞かれて頷いていると。
「お待たせいたしました」
少し美愛と話しただけなのに、彼は現れた。
手には白くて細長い紐を持っていた。
「失礼します」
スッとあたしに近づき、何やら紐をいじりだす彼。
彼の見た目にピッタリな甘い香水の匂いが、鼻をくすぐる。
「いかがですか?」
「うわぁー…。
凜、似合っているよ!」
胸元には、先ほどまでなかった白いリボンが結ばれていた。
彼が結んでくれたものだ。
黒いゴスロリに、白いリボンはとてもよく似合っていた。
「お気に召されましたか?」
「は、はい!
ありがとうございました!!」
「では、わたくしは失礼いたします。
ごゆっくり、お買い物をお楽しみください」
ぺこり、とご丁寧に頭を下げた彼は、スタスタと長い足で歩きだした。