10年の片想い
「久留米凛と田島美愛、2人を姫にしたいですか」
「………したい」
「言わないということを守れるんですか」
「守る。
ボク、もう離れたくないんだ…凜ちゃんと美愛ちゃんと」
キラは頭を押さえた。
「ボク、ずっと探してきたんだよ?
2人が今、どうしているか……。
2人がどうしているのか気になったから、頑張ってカオリに勉強教えてもらって、あの高校入ったんじゃん。
元々ボク、三金高校に入れる実力じゃなかったんだから」
いくらキラが三金高校の校長の愛してやまない孫でも、入学するために必要な学力のないキラをいれることは出来なかった。
祖父のツテで入ろうと考えていたキラはそれを聞き、入試トップ合格していたカオリに勉強を教わり、三金高校に見事入学できたのだ。
キラがそこまでして三金高校―――凛と美愛と同じ高校に入りたい理由を知っているカオリは、小さく溜息をついた。
「ボク、お喋りだけど、今回は我慢する。
ずっと探してきた凜ちゃんと美愛ちゃんを、そんな簡単に手放したくない」
「……初恋の相手である凜さんの好きな人が、トウヤであってもですか」
カオリから現実を言われ、キラは一瞬黙り込んだ。
しかし、その目に力が宿る。
「うん。
凜ちゃんが誰を見ていても良い。
凜ちゃんがずっと―――10年前から自分を守ってくれているトウヤが好きでも良い。
ボクは、凜ちゃんと、凜ちゃんをずっと傍で見てきた美愛ちゃんと、傍にいたいんだ」
キラの強い意志に、カオリはトウヤ、ソラ、ウミを見る。
ほぼ3人同時に、頷いた。
「……反論する人はいないようですし、良いでしょう。
凜さんと美愛さんを、引き続き姫にしても」
「ありがとうカオリ!
トウヤもソラも、ウミも!!」
「しかし、先ほど言ったことは守ってくださいね」
「わかってる!」
……本当にわかっているんでしょうか?
内心思い切り首を傾げるカオリであった。