10年の片想い






あたしは美愛を後ろに隠し、エリート男性を見つめた。

本当、カオリとそっくり……。





「探しておりました。
どうぞ、こちらへ……」




スッと男性は手を伸ばす。

手の先には、黒塗りの高級車が停まっていた。





「久留米凛様、田島美愛様。
どうぞ、お乗りになってください」

「お乗りになってくださいって言われてもですね…」




誰だかわからない人についていけないし、車にも乗れない。

人として、当たり前だと思う。




「相馬様がお待ちでございますよ」




ふっと、男性は微笑む。

前言撤回。

どこがカオリに似ているんだよ。





「てか、相馬様…?」

「はい」



相馬って…キラ?

あたしは美愛を連れ、車へ駆け寄った。







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