10年の片想い
「ヤッホー。凜ちゃん美愛ちゃん」
あたしたちが近づくと窓が開き、キラが笑顔で手を振っていた。
中にはキラだけじゃなく、トウヤ・カオリ・ウミ・ソラもいる。
「皆っ……」
「どうしてっ……」
あたしは泣きそうになったのを、頑張って抑えた。
美愛も、泣きそうになっているのをこらえていた。
「凜ちゃんと美愛ちゃんの家に行ったら、海に行ったって聞いてね。
迎えに来ちゃったんだ」
驚いているあたしたちの横で、先ほどの男性が扉を開けてくれた。
「どうぞ、お嬢様方」
「「ありがとうございます」」
相変わらずふかふかの革張りのソファーに腰かける。
変わらない空気と顔ぶれに、あたしは思わず泣き出した。
抑えるのにも、限界が来ていた。
「ど、どうしたの凜ちゃん!?」
「ごっ…ごめんなさい……」
「凛…泣くの、反則だよぉ……」
そう言う美愛も泣きだしていた。
あたしたちは手を取り合い、一緒に泣いた。
乱馬のメンバーは、何事か驚いていた。