10年の片想い







「ただの、三金高校生徒会ではないですね?」

「…………」

「隠しても、無駄ですよ。
大体、可笑しいと思っていたんです。

何故、生徒会長である凜さんと、副会長である美愛さんが、理事長に嫌われるのか。
僕らのことを調べないだけで退学なんて、可笑しいですよ。
理事長は厳しいと評判ですが、周りからの評判もありますので、そう簡単には退学にしないでしょうね。
退学にしたら、周りの評判がガタ落ちですから」





カオリに嘘つけない。

眼鏡の奥の瞳に、逆らえない。

そう思った瞬間だった。






「…赤青神(せきせいしん)……」

「凛っ!」

「もう隠し通せないよ、美愛」




美愛が言葉に詰まる。

キラが、驚いたように目を見開き、言葉を絞り出す。




「赤青神って…有名な、暴走族の……?」

「そう。
あたしは赤青神の総長。
美愛は、あたしの右腕の副総長なの」





赤青神は暴走族と言われながらも、暴走はしない。

喧嘩もしない。

道端に落ちているごみ拾いなど、地域に貢献する族。

族というか、ヤンキーグループに近いと思う。

赤青神を暴走族にしたのは、かっこいいからという理由だけだった。








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