俺とお子ちゃま彼女
「唯斗…あたし、さっきの質問に答えに来たの。」


え…?


さっきの質問って確か…


『あの時さ…なんで…なんで泣いてたの?』


答えてくれるなんて…もしかして無理してる…!?


「無理して答えなくていいからさ。…な?」


俺がそう言うと、小谷さんは首を横に振った。


「違うの!無理なんかしてない…。」


小谷さんと目が合う。


「あたしさ…唯斗のこと知ってた。中学の頃から…。」


ちゅ…中学の頃から!?


俺と小谷さんは中学も違って、初めて会ったのは高2になってからだ。


「なんで俺を…?」


俺が覚えてないだけ…?


「中学の時…唯斗、吹奏楽だったよね?」


「…あぁ。」


実は吹奏楽に入ってトランペットを吹いていた俺。


「あたしも吹奏楽やってたんだ。トランペットをさ。」


同じだ…。


「中3の夏…最後のコンクールであたしにソロがあったの。

何度練習をしても自信が持てなくて…普段は男っぽい性格のあたしでも不安でたまらなかった…。」


小谷さんの表情から当時不安だったことがよくわかる。


中3のコンクールか…懐かしい…。


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