空よりも大きく
「もしも生まれ変わることが出来たなら、私はまたあなたと一緒に生きていたい」
その言葉に悠也は少しだけ微笑んだ。
そして、私の右手に果物ナイフを握らせ、自らも同様に握る。
これで、やっと…。
お互いの腹部にナイフをあてがう。
「ふふっ、ばいばい悠也、また後でね」
「うん、唯奈、ばいばい」
額をこつんとぶつけて一気に両腕に全身の力を込める。
「うっ」
一瞬鋭く、痛みが貫く。
そして、
「唯奈大好き…また、後世で…」
という力の抜けたような声と、幸せと涙でいっぱいの悠也の顔を最後に、私はゆっくりと目を閉じた。
ー…悠也大好き…また後世で…
声に出せなかったけど、伝わったかな?
悠也、ありがとう。
さようなら。
また、後でね。
目の前が真っ赤に染まる。
そして、唯奈の意識はここでぷつりと途切れた。