ミャウミャウにキスを。
危ない夜。
正史の部屋に住むようになって、一週間。
正史は、私のご飯とミルクを置くと、
「じゃあ、ミャウミャウ、行ってくるよ。」
頭を撫でて、出掛けて行く。

私は、正史の部屋でジッと待つ。


何度か、
正史に私が凛だと知らせようと、
ミルクを垂らして、私の右手で、
『りん』という字を書いて、
ミャウ〜と、鳴いてみた。

その度に
「なんだよ、ミルクをこぼすな。」
そう言って、雑巾で拭かれてしまう。


私は、凛なのよ。正史。
分かって、お願い。

そう、願っても、伝わらない。
とても焦れったい。


「凛、連絡くれよ…。」
毎晩、正史は、辛そうに携帯を見る。

正史。
ミャウ〜って、鳴く。
正史、私は、ここよ。
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