ミャウミャウにキスを。
ある日、正史がベッドから起きなかった。
私は、正史を両手で揺すってみた。
ミャウミャウ鳴いた。
それでも起きない。

正史の顔に鼻面をつけてみる。
熱い、熱がある。
どうしよう。
正史、正史。

正史の携帯が鳴った。
何度も。
それでも起きない。


そして、ようやく。


お昼頃の携帯が鳴ると、
正史は、怠そうに携帯に出た。

「はい…あ、大野チーフ。…すみません、風邪を引いたみたいなんです。連絡出来なくて、すみません。…はい、寝ています。宜しくお願いします。」

大野チーフ。
五歳年上のバリバリの営業レディ。
何かと、正史を目に掛けてるみたい。
大野チーフとの仕事で、私はデートをすっぽかされたことがある。
女の上司は、
なんか気になる。

正史は、ゆっくり起きると、
「ミャウミャウ、ごめんな。ご飯、遅くなって。」
私にカリカリのご飯とミルクをくれた。
そして、自分もミルクを一杯飲むと、
再び、ベッドに潜り込んだ。


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