sunflower



そう、願ってた。

私は右手に持っていたタンポポの花を、

強く握り締めていた。

ぐちゃぐちゃになって、

手に少し緑っぽい物が付いている。


ダメだ。

これは、春に見せようと思っって摘んだの。

私がぐちゃぐちゃにしちゃったら、

春が見ても喜ばない。

「綺麗だね」って、言ってもらえない。



春の所へ行かなきゃ。――


「春の所に、行けないの?」

「家族しか入れないって。
 俺、今外にいるけど・・
 入れてもらえなかった。」

「今から行く!
 そこってどうやって行くの?」

「来ても意味ないよ?」

「でも・・行きたい。
 少しでもいいから、近くに行きたいの。」


和は、丁寧に行き方を教えてくれた。





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