神器~シンギ~
「クレア。私は知っての通り、天族よ。派遣天族っていって、地上を観察し、報告する天族なの。お父さんと会ったのもあのミューズが奉られている遺跡よ。」

「そう。」

「ミューズと久しいのは、ミューズに支えていたから。そして、大親友でもあったから。」

「で、お母さんは、なぜ私が器だと教えてくれなかったの?」

「それは、知ったのはクレアが11の時だった。だけど、どこかで違うと感じてたせいなの。ごめんなさい。」

「神器は、何をするの?」

「世界の神遺跡を周り、神々をあなたの中に宿し、ゼウス様を宿したら、あなたは神器として、完璧になって、神々の体として生きていくのよ。」

「嫌よそんなの!ゼウスだかなんだか知らないけど私は、嫌よ!」

「………お姉ちゃん、お母さん喧嘩してるの?」

「してないよハルト。部屋に戻ってて。」

「お母さん、ハルトにはないよね?神の力みたいの?」

「無いと思う。だけど、あなたを守る力は持ってると思うわ。」

「そう。」

「クレア。これ。」

「何?」

「力を制御できる、神の腕輪。」

私は、もらうだけもらってその場を離れた。その時のお母さんの顔は、悲しそうだった。

(いいの?あんなので?)

「いいのよ。もう決めたことだから」

翌朝、そう言って私とミューズは旅に出た。置き手紙もして……

「ミューズ、私この腕輪のはめかたしらないんだけど……」

(仕方ないわねぇ。)

ミューズは、かわりになってはめてくれた。

「はい。」

「ありがとう。」

(どういたしまして。)

「ここからだと、どこの遺跡が近い?」

(アポロンの遺跡よ。)

「アポロン?」

私は、神話は好きだが、アポロンは初めて聞く名前だった。

(私的には、あまり会いたくないのよね。)

「なんで?」

(会ったらわかるわ)

「そう。ところで、アポロンは何の神なの?」

(太陽神アポロンって呼ばれてるけど、実際は、音楽、医療の神よ。面倒な女よ。男の姿に化けれるのだから。)

「ふーん。おもしろそうね。」

(何がおもしろそうねよ。私は、音楽と愛の女神だけど、一緒にされたことがあるからいやなのよ。)

「そうなの。あっ!小屋が見えたわ。あそこで休憩しましょ!」

(そうね。だけど、慎重にね。なにがあるかわからないから。)

「はーい」

私とミューズは、小屋に行き、ノックをした。

「すいません。どなたかいらっしゃいませんか?」

(……いないみたいね。)

「うん。」

(いいわ。誰かきたら謝って、ここを出ましょ。それまで、ここにいさせてもらいましょ。)

「うん。」

不安があったけど、神であるミューズの言葉を信じ、ここで休ませていただくことにした。しばらくして、外から男の人の声がした。

「ミューズ。」

(窓から覗いてみましょ。)

言われた通り、覗いてみた。そしたら、中年くらいの男の人が小屋に向かってきた。

「来るよ。ミューズ。」

(変わりなさい。)

「うん。」

中年くらいの男の人が小屋の中に入ってきた。

「誰?君?ここの人?」

「違う。私は、ただの探検家だ。」

「そう。僕は、ただの旅人。」

ミューズは、なんとかしのいでくれた。

「旅人にしては、遺跡巡りみたいな格好をしているが……」

「僕は、旅人でもあるし、考古学者でもあるからね。そうだ。君の名前聞いてなかったね。」

「名前を聞く前に、お前の名前からだろう。」

「そうだね。僕は、ハンス・ウェルナー」

「私は、クレア・ラスタ」

「ラスタ……。あのラスタ博士の!」

「お父さんをご存知なんですか?」

「あぁ。僕は憧れて、考古学者になったんだ。」

「そうだったんですね!」

「君は何故?」

「お父さんのよく後をつけてたんです。だからかな。」

「ふーん。」

ハンスさんと私は、次の日まで、小屋で、休んだ。次の日、なぜか私は縛られていた。

「ミューズどうなってるの?」

(ごめん。私のミスよ。ハンスってやつにやられたわ。)





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