不器用彼女
その後の2人
「ねぇ〜架歩〜、架歩ちゃん〜」
私たちは学校ではあまり話さなかった。
周りがコソコソ何か言い合うから。
なのに、どうしてだろう。
拓斗が、教室にも関わらずベタベタひっついてくる。
正直に言うと、嬉しい。
だけど、いつもと違うから困惑。
「…あのさ、どうしたの?」
できるだけ平然を装い、答える。
「架歩と一緒に居たいなぁと思って」
拓斗はさらっとそんなことをいう。
あたしの頭はボンッと音を立てて爆発した。
な、なんて可愛らしい生き物なの…!!
にやけそうになる口元を必死で堪えていた。
すると、近くで…
「なんなの、あいつ。超ムカつくんですけど」
クラス…いや、学年1美人であろう子がわざとこちらに聞こえるように、クスクスと笑いながら友達と話している。
…だから、嫌なんだ。
傷ついちゃうから。
「おい」
後ろから、いつもは聞かない拓斗の低い声が聞こえた。
「俺は架歩がいいから付き合ってんの。
彼女のこと悪く言わないでくれる?」
…こんなこと、初めてだ。
あたし達が付き合っていることは、噂で回っていたからみんな知っているはずだけど、こうやってみんなの前ではっきり言ってくれたのは初めてで。
「架歩、行こ」
そうして、教室から連れ出された。