ミチタカ君
それ以外に、ミチタカ君とは帰り道もおなじだった。わたし達は渋谷でも坂道が多い所に住んでいた。

伝統のある高級住宅地であった。

その坂道を毎回登りながら、わたし達は家に帰った。

ある日わたし達はこんな話をした。
それは、初めて一緒に帰った日だった。

「そう言えば、この地域って坂を登るほど土地の価値が高くなるって本当?」

と私が興味本意で聞いたことに、ミチタカ君は真剣に、そして神経質に答えてくれた。

「そう、良く言われることだよ。その通りだ。でも、僕は坂を登るほど、人の価値は下がっているように思えるんだ。」
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