僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
私より、3つ上の総一郎は、その年、大学を卒業する。


でも、礼ちゃん先輩が大学院に進学することを知っていた私は、総一郎も大学院に行くもんだと思っていた。



それが、大手の税理士事務所に就職に内定を貰っていると知ったのは、年が明けてからだった。



後、3ヶ月もしないうちに、総一郎と会えなくなってしまう!


そう思った私は、総一郎に思いきって告白した。



「好きです!!付き合って下さい!!」


「俺、総一郎だけど?」


「そんなん分かってます!!!」


「本気で言ってるの??」



「こんなの冗談で、呼び出したら怒られる事分かってますから!!

 本気です!!」



「・・・いいよ。」



「へ?」



「自分で、言っといて何を驚いてる?

 それとも、やっぱり冗談か??」



「違います!!」


「じゃあ、君はこれから俺の彼女だ」


「はい!!」



天にも昇るほど嬉しかった。



でも、物事はそんなに甘くない。




付き合い始めてからも総一郎は卒論で忙しく、めったに会えない。



それに、社会人になってからはもっと酷かった。


なれない仕事でクタクタの総一郎は休日は家で休みたいみたいだった。



総一郎はマンションで礼ちゃん先輩と2人暮らし。


ご両親は、仕事で海外にいっているらしい。



だから、二人の時間なんてほとんどなかった。



税理士事務所と言うところは特に10月の終わり頃から4月の頭までが休みがないほど忙しいらしい。


そして、運がわるいことに、私の誕生日も、総一郎の誕生日も、クリスマスも、バレンタインも付き合い始めた一年記念もぜーんぶその期間にある。


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