僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
それを聞いた途端、総一郎の目が不自然に泳いだ。


さては、


「礼ちゃん先輩にからかわれた?」


そう言うと、総一郎はバッとこっちを向いた。


どうやら、図星らしい。


本当は、何を言われたか聞きたいけど、これ以上つっこむと不機嫌になるから、これ以上問いつめるのはよそう・・・。



「総一郎のは・・・」


私は、近くにおいてあった、総一郎にあげるためのチョコレートをとって、差し出した。


「これ。」


「あぁ・・・」


総一郎は礼ちゃん先輩にからかわれたショックからまだ立ち直ってないみたい。


「ちょっとお酒が入ってて、甘さ控えめで、大人な味なんだって。」


店員さんに聞いたのことをそのまま言うと、総一郎はチラッと私を見てから、チョコレートの包みを開け始めた。


そして、4つあるチョコレートの一つをつまんで口に入れた。


その行動はいちいち優雅で色気がある。


そんなしぐさに見とれていると、しっかり味わった後一言、こう言った。



「甘いな・・・」


「そりゃ、チョコだから・・・」



そう反論してみたけど、自分の選んだモノが否定されて悲しくなった。



そんな私を見て、総一郎は、チョコレートの箱を持ったまま、私の横に移動した。


突然の行動に驚く私に、総一郎はチョコレートを一つつまんで、私の口元に持って来た。


「食ってみろ。」


「???!!!」


それはこのまま食べろってことですか??!!



テンパル私を総一郎がせかす。



「ほら、溶ける。早くしろ。」


そう言われて、私は覚悟を決めて、それを食べた。




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