僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
口に入れたチョコレートはやっばり甘さ控えめであんまり甘くない様に思うけど、正直、ドキドキしすぎて細かい味までわからない。


「甘いだろ?」


そう聞かれるけど、そんなに見つめられると、余計味が分かんなくなる。


「に、苦いと思うけど・・・」


やっとのことでチョコを飲み込みそう答えたけど、総一郎は怪訝そうに


「そんなわけないだろ?」


そう言って、私にキスをした。



ビックリして、後ろに下がりそうになるのを、総一郎の大きな手が阻止する。


もうあるはずの無い口の中のチョコを掬い取るような総一郎の舌に、私の思考回路まで奪われる。



やっと解放されて、大きく息を吸い込んでいると、総一郎はもう一度、チョコを私に差し出しだした。


これを食べるとさっきと同じようになるって分かってるのに、すごく恥ずかしかったのに、何も言わずわ私を見つめる総一郎の目は、熱を帯びて、逆らう事が出来ない。


結局、残りの一つも同じ様に食べさせられる。


もうチョコが残ってないからか、さっきの2回より長いキスに、私の頭がぼーっとしてくる。



あれ・・・・私、お酒弱かったんじゃなかったっけ?



鼻から抜けるアルコールの香りに気づいた後、私の意識はそこで途切れた。

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