僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
2月14日 (土曜日)


「映画、見に行こう?」


洗濯物を終えた私に波留はそう言った。


波留の提案に乗り、私たちは午後から近くのショッピングモールに出かけた。



まぁ、映画は普通に面白かったんだけど、問題はその後。



買い物して、夕ご飯も食べて行こうってことになって、ショッピングモール内をぶらぶらしたんだけど・・・


バレンタイン当日にもかかわらず、まだ堂々とバレンタインコーナーが設置してあった。



それだけならまだしも、夕食に入ったイタリアンは、バレンタイン限定ディナーなんてものもあった。



何事もないようにそれを頼んだ波留。



でも、チョコについて何も言って来ない波留。



まぁ、あんだけもらえば私からチョコが貰えるかなんてどうでもいいのかも知れない。




そのことにホッとしつつもどこか寂しい私は我が侭なんだろうか・・・。



結局、どこかモヤモヤしたまま家に帰り着いた。



当然のように私の家に入って来て帰る様子のない波留。



テレビ見て、ちょっと仕事して、風呂まで入る。



いつもそんな感じだから私も、休日に波留がいることに違和感がない。



「今日、楽しくなかった?」



「え?そんなことないよ。何で?」



突然聞かれて、ちょっと動揺する私。


「ふーん。ならいいけど。」



バレンタインのことで、モヤモヤしていた私は、確かにちょっと上の空だったかもしれない。



でも、波留はそれ以上追求して来なかった。

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