僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
2月15日 (日曜日)


日付も変わってそろそそ寝ようかという雰囲気になったころ、波留がチョコの入ったダンボールをゴソゴソし始めた。


「え?今から食べるの?」



「そんなわけないじゃん。」



「じゃあ、何してるの?」



「ちょっと、探し物。」


「探し物?」



「うん。それに、俺、このチョコ、食べないからね。」



まだ何か探しながら、当然のように言った。



「え?食べないの??」


「食べないよ。」


「じゃあ、どうするの?」


「このまま閉じて、実家に送る。

 そしたら、甥っ子とかが食べるっしょ。」




「でも・・・」



「あったあった。」


言いかけて、私は、波留が取り出した箱を見て止まった。



オレンジ色の包装紙のそれには見覚えがあったからだ。



「ねぇ?」


「何?」


問いかけられて、私は必死に動揺を悟られない様に取り繕う。



「これって、手作りっぽくない?」



そう聞かれて、私は固まってしまった。

< 39 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop