僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
確かに、メーカーのロゴの入っておらず、所々皺が入ったそれは手作りに間違いない。


でも、動揺して何を言えばいいか分からず固まる私。


波留はそんな私を気に留める風でもなく、持っていたそれだけ机に上に置いた。



「渚さん、ガムテープある?」


そう聞かれて、ガムテープを差し出せば、波留はそれでダンボールを密封した。



「それ、どうするの?」



緊張して、声が震える。


「あぁ、これ?

 うーん、どうしようかな?

 流石に、誰が作ったか分からないもの甥っ子に食べさせる訳にはいかないから出したんだけど・・・」



「手作りってそれだけなんだ?」



「そーだよ。

 渚さんいるのに他の子から手作り貰う訳無いじゃん。」


「そっか、それで、それどうするの?」


「うーん、捨てる?」



「え??!!」


思わず大きな声が出た。


「え?!だって誰が作ったかわからない手作りだよ?」



「いや、だってそれだって波留の為に誰かが一生懸命作ったんだよ?

 それを捨てるのはちょっとひどいっていうか・・・」


『捨てる』という単語に動揺してしまう。


「じゃあ、渚さん食べる?

 一応、部の誰かが作ったんだと思うし。


 多分、毒も入ってないし?」


そう言って、持っていたそれを私のところに持って来た。

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