僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
ひなを眺めていて、思い出した。


ゴソゴソとスーツのポケットから取り出した小さい箱。


そこからネックレスを取り出し、ひなの首につける。



俺に密着しているから付けづらかったけど、なんとか成功した。




その時、ひなが嬉しそうに笑った。


それを見て、自分も嬉しくなる。



ひなの頭を撫でると、スリスリと頬ずりしてくる。



・・・それは勘弁してください。



手を頭から放すと、ひなの頬ずりも止まる。



最近忙しかった俺は、ひなを上にのせたまま眠ってしまった。



俺の腕の中で動くひなで目を覚ます。


ひなはガバッと起き上がってあたふたしている。



スーツの心配をするひなに、ムッとして腕を引っ張るとひなは俺の横に戻って来た。



慌てるひなはいつものひなで、昨日の色気は無い。


そのことにホッとしつつもどこか寂しさもある。




だが、今はそんなことより言っておくべき事がある。



「二度と、酒の入ったものは食べるな。」



その後、ネックレスに気づいたひなが嬉しそうに笑うのを見て、仕事の疲れが吹っ飛んだ。



何だ、ひなの笑顔一つで、こんなにも疲れが取れるなら、どんなに忙しくても会いに来た方がいいじゃないか



そう思ったのは、口が裂けても言えない。






おわり
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