僕が彼女にチョコを貰えなかった理由
俺の、彼女への第一印象は、『気の強いおねーさん』。


研修中から、女の子のアピールが半端無くてちょっとうんざりしていた俺は、自分が配属されたチームの唯一の女の人を見てホッとした。


まったく俺に興味のない女性。遠藤渚。


この時の俺は、その後、自分が彼女を好きになるだなんて思ってもみなかった。



でも、毎日一緒に過ごすうちに、少しずつ印象が変わって来た。


仕事が出来て、はっきり物を言う彼女だけど、仕事外では面倒見のいい姉御肌だった。



自分は行かない合コンのセッティングをしたり、仕事の相談はもちろん、恋愛相談を受けたり。



そのせいか、俺が渚さんを気になり始めて、彼女にアピールしだした時、周りは応援モードだった。



今までの経験上、俺の彼女は多少なりとも周りから陰口を言われる事があった。



軽く、いじめにあった子も居たくらいだ。


そんなんで、特定の彼女を作らない時期もあった俺にとってこの反応は新鮮だった。



明らかに、俺に色目を使って居た子達まで『渚さんなら仕方が無いモード』。



何で、そんなに応援してくれるのか疑問だったが、すぐに分かった。


いつまでたっても俺のアピールに気がつかない彼女。



他人の恋愛の面倒ばっかり見て、自分のそっちのけ。


というか、自分に向けられる好意に気がつかないのだ。



先輩曰く、『明らかに誘われている状況でも、50%の確率で気がつかない』そうだ。



渚さんの鈍感っぷりをよそに、俺はどんどん惹かれて行った。
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