嘘つきな僕ら
Prologue
『俺、アイツのこといいなって思ってるんだよね』
親友のその一言が、全ての始まりだった。
『西山さんのこと?』
俺は親友の視線の先を辿って、その名前を口にする。
『…やっぱ良之にはバレてたか』
昔からよく言われる。
他人の気持ちに敏感だと。
俺自身そう思ったことはなかったけど、いつも一緒にいるから親友の視線の先に映る子くらい分かる。
『…まぁ、いつも西山さんの方を意識してるみたいだから』
俺がそう言うと親友は困ったように笑った。
『良之にはバレバレなのに、なんで肝心のアイツには伝わらないんかね…』
正直、そんなこと言われても分からないけど。
『西山さんに告れば?』
『…簡単に言うなよ、アイツを見てれば分かるだろ?』
『何を?』
『アイツには好きな男がいるって、こと…』
そう言って親友は自分の机に突っ伏した。
『あ~…でも気持ち知って、心動くことだってあるんじゃね?』
確かに親友の言う通り、多分西山さんには好きな男がいる。
そんで多分、親友じゃない奴…
『ないだろ』
未だ机に顔を突っ伏している親友がどんな表情で言っているのかは分からない。
『分かんないだろ』
そう言い返すも、多分親友の言う通り…
『なぁ…良之さ?
俺に協力してくんね?』
『協力?』
『そ、アイツと俺がうまくいくようにさ』
『…いいけど、具体的に何すんの?』
『う~ん…アドレス教えるからメールしてみてよ』
『は?』
なんでメール?
てか、俺が?
いやいや、普通にお前がメールした方がいいんじゃね?
『そんで俺のいいところでも言いまくってよ』
…はぁ…そういうことですか。
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