嘘つきな僕ら
突然の守からの宣戦布告。
『それはつまり…
良之が西山のことを本気で好きになってもいいってことだよな?』
タケの質問に守は首を縦に振った。
『宣戦布告するってことはどっちかが西山と付き合うことになったら、もう片方はその事実を受け入れるって、そういうことだよな?』
『そうだな』
守とタケの会話が耳に入る。
でもただ入ってくる言葉で、その言葉たちの意味や真意を考えられるだけの余裕が俺にはなかった。
『良之、俺からの宣戦布告、受けるよな?』
守のその強い瞳に俺はただ困惑するしかなかった。
どうしてこんなことになってしまったんだろうか…
俺が彼女を知りたいと思ったから…?
守が好きな女だって知りながらも、それでも俺は彼女の“好き”に舞い上がってしまったから…?
『良之』
でも、もうどんなに説明しても、どんな答えを導き出そうとしても守には届かない。
『……守、俺、お前からの宣戦布告は受けない』
俺は携帯を取り出し、彼女のアドレスを消した。
『良之?』
『これが俺の答えだから』
『どういう意味だよ…?』
『西山さんは気持ちを伝えてくれた。
でも俺は…俺はやっぱり守やタケと笑い合ってる方が楽しいから』
~♪~♪~♪~
それと同時にタケと守の携帯が鳴り響く。
タケと守が携帯を確認し、俺からのメールを読む。
『…良之…?』
『これで西山さんとはつながらない。
もちろん西山さんにもこのアドレスは教えない』
守が近くの壁に寄りかかる。
タケからは溜息が聞こえる。
でも、俺は笑った。
『…なんでだよ…?』
『なんでこんなことすんだよ!!』
守が大声でそう叫んだ。
俺は黙って、守の顔を見つめた。