嘘つきな僕ら
それから二週間が経った。
守は俺のことを完全に無視、タケも、多分タケから事情を聞いているだろう加藤も西山さんと守の話題を避けてくれていた。
望んだ結末とは少し違ってしまったけれど、後悔することはなかった。
ほら、俺の気持ちなんてこんなもんだった。
好きと言われて舞い上がってただけ、なんとなく意識してしまっただけ。
普通に笑えるようになっていた。
『あ~、もう期末じゃん、俺今回数学ヤバそうだよ』
後ろの席の加藤がそう言って、顔を机に突っ伏す。
『俺も数学、自信ないわ』
『でも良之、俺よりは出来んじゃん?
俺、受験というか留年とかになったらどうしよ…』
『中学は義務教育だろ、義務教育中に留年はさすがにないだろ?』
『いやそれは分からねぇよ、俺が留年第一号になるかも、だから』
『おいおい』
そんな他愛ない話をしているとタケがやってきた。
『お前ら放課後、暇?』
『なんだよー、彼女出来た男が青春経験の乏しい俺たちに何か用か?』
加藤が更にふてくされた声でタケに突っかかる。
あの一件から一つ変わったのは、つい三日前ほどにタケと瀬川が付き合い始めたこと。
『青春経験って…あのな~…
まぁ、いいや、そんなことよりも放課後期末対策しない?』
タケの誘いに部活も引退して、本当に暇な俺と加藤はタケの誘いに乗った。
『じゃ、里山公民館で4時半な』
タケはそれだけ言うと自分の席へと戻っていく。
『てかさ~タケと良之と俺、バカトリオで勉強すんの?
先生役いないとバカトリオだけじゃ意味なくなねぇ?』
俺は加藤の言葉に頷く。
そうそう俺たちの成績はどんぐりの背比べ、そんな俺たちが教え合いなんて到底無理な話で…
『誰か他に来んのか?』
加藤の言葉に嫌な予感がした。
当たらなければいい、そんな予感…