嘘つきな僕ら
『…そっか…』
俺がそう答える、俺が何か言うたびに彼女は泣きそうなのを必死に我慢したような顔をする。
俺はたださっき見せてくれた、あんな風に笑ってくれればいいのに。
そう願ってるだけなのに。
『ありがとうございます』
彼女のお礼を聞きながら、俺も席に座った。
席に座り、緊張で乾いた体に水を注ぐ。
いくら飲んでも、喉の渇きが治まらない。
そんな俺に一通のメールが届いた。
『今日、告白するつもりだから』
守からのメールだった。
携帯から目が離せない。
『どうした?』
硬直した俺にタケが問いかける。
『…なんでもない』
俺はそう答えて、携帯を鞄に閉まった。
今日、守が彼女に告白をするー…
きっとこの二週間の間に、守と沢山電話したり、メールしたり…
そんで二人の距離は縮まっていて…
『由莉、ちょっといい?』
守が席を立ち、彼女の名を呼んだ。
『何?どこか分からない問題でもあった?』
俺と話すときの敬語がなくなってる。
それだけ守が必死に距離を縮めてきた結果だ。
『そうじゃなくて、ちょっと気分転換に行かない?』
守が席を離れ、自動扉の方に歩いていくので、彼女もそれを追いかけた。
俺はただ、その様子を静かに見守った。
二人が完全に自動扉から外に出たところで、
『もしかして…守、告るつもりなんじゃ』
加藤がそう言った。
『もしかして、じゃなくてそうだろ』
タケもそう言う。
『中原、どうすんの?』
瀬川に問いかけられ、俺は
『どうすんのって…何が?』
そう答えた。
『何がって…このままじゃ由莉、告白されちゃうんだよ、いいの!?』
瀬川の言葉にタケも加藤も俺に視線を向ける。
一斉に全員から向けられた視線に戸惑う。
『…俺には関係ないよ。
西山さんにOKもらえるといいよな、守』
俺がそう答える頃、隣の公園に二人がやってきた。
公民館に隣接されて作られた、わりかし大きめな公園。
そこにあるブランコのところで二人はブランコに腰掛けた。
二人の具体的な表情までは見えないにしても、なんとなくの表情なら見えるよう、二人はこちら側を向いて座っている。