嘘つきな僕ら
時に彼女の顔が笑ったように見える気がする。
話し上手な守のことだから、きっと彼女との会話もばっちり弾んでいて…
『…言ったね…』
瀬川の言葉に俺以外の人間が頷く。
そして守と彼女の雰囲気が変わっていく。
少し起こったような守に、何か食らいつく様な彼女…
なんだか言い合いをしているような雰囲気に見て取れた。
『…あ…菅原来る!』
俺たちは一斉に勉強してるモードを醸し出すように、ノートを開き、答えようもなくシャーペンを動かした。
でも、何分か待っても守の姿は現れない。
それどころか彼女もあのまま公園にいるままで戻ってこない…
『ちょっと様子見に行かない?』
瀬川の言葉にタケと加藤も席を立った。
『良之、行かないのか?』
そう言われても、守にはどう声をかければいいのか、彼女にはなんて声をかければいいのか…
『行くぞ』
タケに言われ、俺も席を立つ。
3人より遅れて歩くも、駐輪場まできて守の自転車がないことに気付く。
『…帰っちゃった…?』
『…だろうな…』
『あ!由莉…』
俺たちは守の居場所確認より一人残された彼女の元へと走っていく。
『由莉!!』
ブランコに腰掛け、項垂れる彼女に瀬川が一番に近寄る。
『由莉?』
瀬川の呼びかけに顔を上げる彼女…
すでに目からは涙が溢れている。
『どうした?』
瀬川はもう一つのブランコに腰掛け、彼女と同じ目線になり、そう問いかけた。