嘘つきな僕ら
それから三日後。
最悪な気持ちで期末テストを受けることになる。
いつも出来は悪いけど、今回はいつも以上に最悪な結果になるのだけは自分でも分かった。
仮にも受験生、三年の一学期の成績だってすごく重要、なのに散々な結果になる気がした。
そして俺のその予感は数日後に見事に的中する。
返された答案を見て、数学、理科、英語は悲惨過ぎる結果、国語と社会は学年平均とどっこいどっこいだったけど…
『良之~~俺ももうダメかも…』
後ろから加藤が返された答案を机に広げ、だらしない顔をしている。
点数は俺よりも悲惨な状態で、俺よりも嘆きたくなる気持ちも分からなくもない…
『加藤、俺も似たりよったりだから』
そう励ますも、俺の点数を見て、“俺より点取ってんじゃん”、そう言って机に突っ伏した。
『俺…本当に受験出来んのかな……』
確かに、俺も自分のこの点数に受験を突破出来る自信がない。
『加藤はさ、どこの高校にすんの?』
『バカだし…工業でもいいかも……てか俺なんて工業高校でも無理かも…』
『工業…かぁ…』
『良之はどうすんの?』
『…俺は…』
加藤の質問にまだ進路先をしっかり決めた訳ではない自分に焦りが芽生える。
『俺はとりあえず宮ノ下…かな…』
適当に高校名を言ってみるものの、本当に高校を考えなきゃいけない。
西山さんはどこに行くんだろう…
ふと俺の心に疑問が湧く、でも誰にも質問できない。
守は西山さんと同じ高校に行くのかな…?
あれからどっちとも話せていないけど、守と西山さんの関係は今、どんな感じなんだろう…
俺が見る感じでは今までどおりのように見えるし…
『良之、西山さん、桜坂高校を志望してるみたいだぞ』
加藤の言葉に、俺は加藤の目を見つめる。
『…え!?』
加藤の言葉が正しいなら、春を迎える頃は、本当にバラバラ…
彼女の志望校は俺たちが住んでる県の1,2を争うような名門高校。
彼女なら、彼女の成績なら申し分なく入れるだろうし。
彼女の素行、部活、委員会等も十分バッチリだと思う。
それに桜坂高校は、俺が適当に言った宮ノ下高校とは正反対の方面…
本当に、本当に中学を卒業したら、本当に本当に離れ離れ…
『…そっか、西山さんなら十分に狙えるよ』
俺が加藤にそう言うと、加藤は苦い顔をして見せる。
『…本当に、このままでいいのか?』
加藤の苦い顔の理由…
『…自分で決めたから』