嘘つきな僕ら
15分後、俺の携帯が軽快に鳴り響いた。
俺の心臓はかなり早く鼓動していた。
そっと携帯の受信ボックスを開くと、送信者は先ほど登録したばかりの彼女からだった。
送信者の名前もちゃんと西山さんって表示されている。
西山【二通もメールを送信していただきありがとうございました。
このメールを下さったということは同じクラスの方だと思います。
よろしければお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか? 西山 由莉】
すっげー律儀なメール…
でも、それもそのはずか…
突然送られてきたメール、送信者が誰なのか知らないし、てか男か女かも分からないわけだし…
てか、見た目、いいとこのお嬢様って感じの雰囲気だし、成績は優秀だし、先生にも信頼が厚い、そんな子、だもんなぁ…
【突然二通もメールを送信してしまい、ご迷惑をおかけしてすみません。
驚かせてしまったり、怖がらせてしまったりしてたら、すみません。
同じクラスの中原良之です】
俺はそれだけ入力して送信した。
だってこれ以上の文章を作ることができそうになかったから。
送信してから30分後。
また携帯に着信音が鳴り響いた。
受信ボックスには西山さんと表示されたメールが一件。
西山【中原くんのアドレスだったんですね。
でもどうして私のアドレスを知ってたんですか?】
…そ、そうだよな…
この流れでくるよな。
分かってたけど、分かってたことだけど。
【菅原から教えてもらいました】
って返すしかないよな…
こんな時に怪しまれない嘘のつき方なんて分かんないし。
そして今度は意外にも早く返信が返って来た。
西山【そうだったんですね。
麻衣子ちゃんから聞いたのかと思ったのでビックリしました】
麻衣子…?
あ~…西山さんのお友達の瀬川麻衣子ね…
うん?
なんで瀬川に聞く?
【瀬川さんじゃなくてすみません。】
俺、守のことがなければ多分連絡する必要もなく、そして聞くこともない…
うん?
すごい疑問、だけどそういう時に限って返信は遅い。
ふと時計を見るとすでに11時を回っていた。
こんな時間だし、返信がないってことはもう来ないよな。
もう一度携帯を見つめる。
『俺が瀬川に聞く理由、ね…』
なんだ?
~♪~♪~♪
突然の着信音に驚いて、ベッドの上で正座をしてしまった俺。
西山【ごめんなさい。
麻衣子ちゃんにお願いしたことがあったので、そのことで返信を頂いたのかと思って驚いてしまいました】
瀬川にお願い?
そのことで返信?
尚更クエスチョンマークが頭の中に飛び交う俺…。
どういうこと?