嘘つきな僕ら


そして昼休み。


俺らは馴染みの場所にやってきた。



『タケも加藤もごめん…。
 二人にすげー心配かけてたみたいで…ごめん』


俺が謝るとタケも加藤も笑って、“気にすんな”、そう言ってくれた。


今更だけど…

“友達”っていいなって心の底から本気で思った。


思って思われて、そういう存在が自分に一人でもいることは本当に心強いことだと思った。




『良之、思ったとおりに話してみろよ?
 文章になってないとか関係なく、本音を言ってみろよ?』


タケのその言葉に、俺はダムが決壊したかのように、今までのことを話し始めた。



『守に西山さんのことが好きなんだって言われたとき、あの頃は全然なんとも想ってなくて、ただ守の想いが報われればいいな、本当にそれしか考えてなかったんだ』


『守から守のアピールをするように頼まれて、それでメールするいきさつになって、お互いののことを教えて、教えてもらって、少しずつ西山さんのことをもっと知りたいって思って…』



『そんな時にメールで俺のことが好きって言われて、内心は嬉しかった、俺も西山さんとのやり取りが楽しくて、西山さんのこと意識する対象に変わっていってたから…
 でも、俺のメールの目的は守のためで、俺がいい思いをするためじゃないって…』



そこで俺の言葉が詰まった。


『良之?』


まるで母親か、と勘違いしてしまうような優しい目で俺を見るタケに、背中を押されたのか、俺は再び口を開いた。



『……守のため、だから…彼女が好意を抱いてくれてると知って、だからこそ彼女の好意を受け取ってはいけない、その為に嘘をつくようになった…本当は彼女の気持ちが嬉しいくせに遠回しな言い方で守を推薦してみたり、無理とか言ったり…そんで彼女への想いも自分の中に封印して……』



『俺のそんな態度に“もうメールはしない”…そうなって……でもそれでいいと思った。
 彼女の気持ちは受け取れないし、守との約束も果たせる……だけど、あの席替えで彼女からの手紙をもらって、あの席にした…あの席を俺が選んで………俺は最低だって…何度も自分をを罵った……けど俺が隣を選んだことに彼女はすごく嬉しいって笑ってくれて…泣いてくれて……』


『けど…ずっと守とのことが頭を離れなくて……曖昧にしないでって瀬川からも言われて……ずっと守に後ろめたいことを隠しながら彼女のことは想えない……でも守にいう勇気もなくて…この裏切りの謝罪はどうしていいか分からなくて…葛藤が続いて……守と西山さんが少しずつ距離を縮めていく、その様子がたまらなく悔しくて、苦しくて……あの席にいるのは無理だって思って、タケに変わってもらったんだ…あの時は突然…ごめん…』


俺の言葉にタケは“もういい”そう言って、優しく微笑んでくれた。


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