嘘つきな僕ら
『それにな、良之?
守が言ってたぞ?』
『……なんて…?』
『守が西山に告ったとき、守、良之は絶対に無理だぞって言ったんだってさ。
けど、西山は“それならもっと努力します”って言ったって。
その時の西山は今まで見てきた、どの西山より強くて輝いてたって。
そんな風に西山を変えられるのは良之だけなんだって、そう思ったって』
…守……
守の言葉にどう答えればいいか……
『それと、俺のために自分を犠牲にさせるほど西山を想ってるなら、きっと西山は自分なんかといるよりもはるかに幸せになれるって言ってた』
『まぁ…お前に面と向かって言うのは悔しいからって、伝言頼まれたんだけどな』
タケが困ったように、でも笑いながらそう話してくれた。
守。
本当にごめん。
守を裏切ることをしてしまったのに、それでもそう言ってくれて。
きっと、西山さんの想いに触れること、それだけでも辛かったはずなのに。
それなのに……ごめん。
でも……俺の裏切りをこんな風に許してくれて、ありがとう。
心の中の謝罪と感謝をいつか守にきちんと、面と向かって、直接言葉にして伝えよう。
俺は、そう強く、強く思った。
『…守と良之、てか俺たちもいつもの俺たちに戻れるな』
加藤の言葉に、タケも、そして俺も頷いた。
『俺、守にきちんと話したい。
そんで俺の本当の気持ちを守にも聞いてもらいたい』
『放課後にでもアイツ、誘ってみれば?』
タケの言葉に、俺は頷く。
『タケも加藤も、本当にありがとう。
二人に聞いてもらえて、俺、嘘つかずに素直になろうと思う』
俺の言葉にタケも加藤も笑って、“良かった”、そう言ってくれた。
ほんと、マジでサンキュー。
俺、タケにも加藤にも、そして守とも友達になれて、本当に良かった。
一人で辛い時、手を差し伸べてくれる人がタケと加藤で本当に良かった。
俺は、一人じゃない、そう思えた。
聞いてくれた二人のためにも、こんな俺を許してくれた守のためにも、今度は俺が彼女に言う。
本当の想いを。