嘘つきな僕ら
伝えたい
その日の放課後。
俺は自分から守を誘った。
守は驚いた顔をしていたけど、久しぶりに肩を並べて歩いてくれた。
『守、ほんとごめん』
通い慣れた路で、俺は守にそう切り出した。
『本当だよなー。
あんなに好きになるなとか注意を呼びかけてたのに』
守がポツリ、そう答えた。
『ほんと…ごめん…。
でも俺、守には自分の口からちゃんと言いたくて…
俺、西山さんのこと、好き…だから』
『…………』
俺の言葉に守の返事はない。
『…今度は俺から宣戦布告する』
俺の言葉に、隣を歩く守はフッて鼻で笑った。
『お前から宣戦布告されても、もう俺の恋は終わってるから』
守はそう言って、今度は俺の顔をみて笑った。
『…え…?』
『俺、お前に完敗だよ。
由莉はお前のことしか見てねぇもん、俺の入る隙間なんて一ミリもなし、勝算のない恋を続けるほど余裕ねぇよ、俺、受験生だし』
『…守……』
『良之、ちゃんと自分の気持ち、言ってくれてサンキューな。
それと…マジで苦しめてごめん』
『守…俺こそもっと早くに守に言うべきだった……ほんとごめん…』
『お互い様!もう謝んのはやめよーぜ、ダチ同士でこんなことすんのなんかしらけるし…それに同じ女を好きになって、一番分かり合えるのにな』
守の言う通り。
西山さんを好きになって、守と同じ人を好きになって、そこで知る。
彼女のいいところ、それを知って、お互い好きになった、だから俺たちは誰よりも一番分かり合える、彼女の好きなところを。
そして、彼女を想うことの幸せ、楽しみ、喜びを。
俺も守も。
だけど、彼女を想うからこその決断がお互いを苦しめることになることを。
一番近くで、一番分かり合える。
友達というよりも、良き理解者、なんだよな…俺たちは。
『良之、アイツ、絶対に幸せにしろよ?』
『…守…』
『これは友達としてじゃなくて、お前と同じアイツを好きになったライバルからの願いだからな?』
『うん』
守は俺の返事にホッとしたような顔で、優しく微笑んだ。
そこからはお互いにどうして彼女を好きになったのかとか。
彼女と連絡する内容が俺のことしかなくて、情けなくも俺の話ばっかしてたとか。
俺たちが上手く話せなかった、そんな日々を埋めるかのように話しながらの帰り道になった。
タケ、加藤。
俺、ちゃんと守と和解できた。
俺はタケと加藤にそう連絡を入れた。
『守、俺、ちゃんと伝えようと思ってるから』
『タケに続いて良之も彼女持ちか…俺と加藤にもいい出逢いがあるといいんだけどな』
守の言葉に、俺と守は笑った。