嘘つきな僕ら
『良之、隣ー』
背後で遅れてきた守の声がして、俺は隣の席に置いていた鞄をどける。
『てか、まも…』
そこまで言いかけて、守じゃないことに気がつく。
『…あ…』
俺がそう口にすると、
『中原くんの隣どうぞって守君達が言ってくれて…あ…あの、迷惑…ですか?』
彼女の困った顔での質問に、俺は首を横にブンブンと振った。
そして遅れて、俺たちの後ろに守とタケ、加藤が座った。
『あれ、瀬川さんは…?』
俺が問いかけると、タケは、
『俺の彼女は俺に合わせてくれるような女じゃないから』
そう言って壁を差す。
『タケの彼女、応用クラスだと』
加藤がそう言うとタケはしょんぼり顔になった。
『まぁ…急いでとりあえず標準クラスに進級するけどな!』
タケはそう言って、ノートと予備校オリジナルの参考書を開く。
…うん、俺もタケに負けじと頑張らなきゃ、だな。
俺もノートと参考書を開く。
そこで塾講師が扉を開けて入ってきた。
まだ若そうな男、でもビシッとした感じ、でも自己紹介で笑った顔を見せると、そのギャップに大半の女子の目がハートになっていた。