嘘つきな僕ら




『えー今日は早速で申し訳ないがみんなの実力を知りたい。
 今から配布する問題を制限時間30分で解いてほしい』


早速のテストということもあって、クラスからはブーイングの嵐。


でも負けじと塾講師は問題を配布した。


『はじめ!』

そう言われ、全員のシャーペンの動く音がし始める。


隣の彼女はさすがというべきか、シャーペンの動く手が止まらない、スラスラと問題を解いていってるみたいだった。


肝心の俺は一問目から手こずる状態。



てか、てか…!

この問題難しくない?


学校の授業で習うより倍は難しく感じるんだけど…



『はい、おしまい』


あっという間に30分が経ち、後ろから順に解答用紙を集め、そして軽快に塾講師が採点を始めた。




『青木、35点』


『三嶋、20点』


『加瀬、65点』


一人一人採点が終わる度に、そいつの点数を暴露していく。


『菅原、45点』


そして守の点数。


『小島、40点』

タケの点数。


『加藤、10点』

加藤の点数まで暴露。

後ろからは深い溜息が聞こえる。


『中原、45点』


とうとう俺の点数まで暴露…

せめて50点、半分は頑張りたいところだった…


ていうか、学校ではこんな風に点数を周りに暴露されるkとなんてなかったから、頭がいい、普通、バカだけで済んだ。


でも点数を言われることによって初めて知る、頭がいいのも馬鹿なのもどのくらいのものなのかとか…


でも、彼女だけには聞かれたくなかった。



『う~ん…本当に大変なクラスだな…』


塾講師がそうポツリと言い放つ。


確かに50点を超えてる奴はほんのひと握りしかいない…



『あれ…おーい、西山、西山由莉って誰だー?』


塾講師は採点をやめたかと思えば、彼女の名前を呼ぶ。


呼ばれた彼女は恐る恐る手を挙げた。



『お前さ、本当は応用クラスだろ?』


その塾講師の言葉に、クラス中の全員の視線が彼女に向けられた。


『…え…あ、私は……』


『この問題、三年前の星村学園で実際に出された問題だ。
 今回は数学だけ借りて解いてもらったんだが、お前、万点だぞ』


星村学園と言えば、県内の私立高校では有名校だ…


『それに、この間の北辰テスト、お前、国語、数学、英語、3教科万点だったよな?』


『…え…』
『うそ…なんでそんな人がこんな基礎クラスなんかにいんの?』
『厭味?てかバカな奴らといれて優越感に浸りたい、みたいな?』

塾講師の言葉に、クラス中がざわめき始めた。

クラスの言葉に黙り、一つ一つの言葉を真面目に聞き入れてしまったのだろう、顔を真っ赤にして、今にも泣きそうな顔をしている。


『…良之』

周りのざわめきに後ろの加藤につつかれる。


なんとか言わなきゃ!!


< 48 / 73 >

この作品をシェア

pagetop