嘘つきな僕ら
『だってアイツ“一緒に勉強したい人がいるから”って嬉しそうに言うもんだから、てっきり初彼でも出来たんかな~って思ってたんだけどな…。
まぁ…なんか俺の勘違いみたいな?……悪かったな、中原くん』
悪気があまり感じられない…
でも彼女のお兄さん…
それに“一緒に勉強したい人”、そんな風に思っててくれたんだ。
クラスは変わってしまうけど、でも彼女がそう思っててくれた、その事実が嬉しい。
『…けどさ、どうなの、中原くんは?』
『…え…俺は』
どうしよう…
実のお兄さんの前でこんなこと言ってもいいの?
どうなのよ!!?
分からん。
分からん。
え~~ぃ!!!!!
『俺は、由莉さんのこと、好きです…。
すみません…お兄さんの前でこういうこと言ってしまって…』
…言ってしまった。
お兄さんの前で、本音を言ってしまった…
『そっか、由莉のこと宜しくね』
『でも本当に由莉のことを好きなら、成績の方も頑張ってくれよな、一応北陽が志望校みたいだけど、今の成績だとかなりヤバいからな』
お兄さんはそう言って笑う。
『頑張ります。
ご指導の程、宜しくお願いします』
俺が頭を下げると、
『うん、俺、由莉みたいに優しくないからスパルタでやるけどな、ついてこいよ?』
『はい!』
俺の返事に、お兄さんは俺の頭をポンっと軽く叩いた。
『弟ってこんな感じか、なんかいいわ』
お兄さんはそれだけ言うと、踵を返して、教室から出て行った。
『良かったな、良之』
守の言葉に俺はまたもやへなへなと椅子に座った。
『でもさ、兄貴からもOK出てるんなら、あとはお前が告るだけだな!』
タケの言葉に、守も加藤も頷く。
『うん…夏休みあけたら、受験一色になると思う。
だから…夏休みの間に言えたらいいな‥とは思ってる』
俺の言葉にみんながにやけ始める。
『頑張れよ』
守の言葉に、俺も深く頷く。
今度は俺から君に“好きです”って言う。
どうか、まだ君の気持ちが変わっていませんように。
届きますように。