嘘つきな僕ら


そして、有村は男4人いる中で、俺を見つけ、俺の前まで歩いてくる。


俺の前まで来ると、俺の顔を見てフッて笑った。


俺…この人に何か笑われるようなこと、したっけ?


なんだか感じ悪い…



『君が、中原くん?』


そう言われて、


『そうだけど、何?』


なんでかぶっきらぼうな言い方になってしまった。


なんか最初のフッていう笑いが気に食わなかったんだ。



『君さ、志望校どこ?』


『…なんすか?』


『いや、君がどこの高校に行こうとしてるのか興味があるだけ』

有村はそう言って、薄く笑った。


『まともに話したことのない人に志望校を教える必要はないと思ってますが』


俺がそう答えると、


『うん、そっか。北陽でしょ?』

まだ答えてもないのに、有村は当ててきやがった。


『…はぁ…そうですけど。
 でも俺の志望校聞いてなんかあるんですか?』


『彼女、いや由莉ちゃんが突然、桜坂から北陽に志望校を変えるって言い出してね?』


…へ……?

有村の言葉にまたもや俺の頭の中にクエスチョンマークが飛び交う。


てか、どういうこと?


『俺は聞いてませんけど』


『だろうね、でも正直なところ、由莉ちゃんに志望校を変えてもらったんじゃ困るんだよ』


有村はそう言った。


『困る?』


聞かなくても、誰でも容易に想像がつく。

きっと有村も彼女のことが好き、どうせそんなオチ…。


『君さ、俺の言葉でどういうことか、成績はバカでも分かるよね?』


……カチーン


『あのさ、良之とまともに話すのって初めてでしょ?
 そういう相手に対して成績はバカとかよくないんじゃ…』


俺の代わりに加藤が入って、そう言ってくれたけど。


『外野は黙っててくれる?
 俺は外野じゃなくて中原くんと話してるから』


…カチーン

二度目のカチーン…


俺に対してなら、こういう言い方ムカつくけど、でもまだ許せる。


けど、加藤にまで…


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