嘘つきな僕ら


お兄さんに連れられてたどり着いた西山家。

外壁はレンガ張りで、外観は洋館。

すごく可愛らしい家に、そして大きい家に俺らは驚きを隠せない。


『お前ら何してんの?』

口をポカーンとした俺らにお兄さんが問いかけてくる。


『あ…とても大きくて可愛らしいお家だな~と…』

加藤の言葉に、俺ら全員首を縦に何度も振った。


『母親がこういうデザインが好きなんだよ』

そう言って、お兄さんはインターホンを鳴らした。

ん?普通に鍵を開ければ…


『はーい』

インターホン越しに可愛らしい声が聞こえた。


『あ、母さん、俺』


『真人くん、お帰り』


そう言って、家の前の扉のロックが外れる音がした。


どうやらこの家のセキュリティは万全らしい…



『真人くん、今日は帰り早かったのね』


初めて見る、彼女のお母さん。

俺の母親とは違って、とても綺麗な女の人だった。

どことなく彼女の目の辺りに似てる…そう思った。


『あら…そちらの方たちは?』


『あ、由莉と同じクラスの野郎ども、そんで…』

お兄さんは俺の腕を引いて、みんなより一歩前に出し、そして、

『母さん、こいつが由莉の想い人』

…と、紹介…してしまった…。


『…あ…え…あの…』

突然のこんな形での紹介に俺は頭真っ白…


でも、


『あら、由莉ちゃんの』


お母さんは優しく微笑んだ。


『…あ…あの…由莉さんと同じクラスの中原 良之と申します』


俺がそう名前を告げると彼女のお母さんはまた優しく微笑んでくれた。


『はじめまして、由莉の母親です。
 由莉が色々とご迷惑をおかけしてしまって申し訳ないです。
 さぁ、立ち話もなんですから、どうぞ中へ入ってください』


そう言われ、お兄さんに続いて、俺らは西山家の玄関に入る。

広めの玄関に、生花が飾られ、花のいい匂いで溢れている。


俺らは脱いだ靴を丁寧に並べ、奥へと進んだ。

そして通されるリビングの広さに再び驚き、そしてソファーに案内された。


『良之、お前には頼みたい仕事があるから、ちょっと』


俺は首を傾げ、そしてお兄さんの後に続いて、先ほど通ってきたばかりの廊下へと出る。



『あの…俺に頼みたい仕事ってなんですか?』


俺の言葉にお兄さんはニヤッとした顔で振り返り、


『アイツを部屋から出してくれる?』


『…え…えぇ~!!!』


一瞬何言われたかの分からないくらい、理解に悩み、そしてその頼みの実行は俺には無理難題だと、そう思ったのだが。


『よろしくね、良之』


お兄さんはそう笑って言った。

そして一人で階段を上がっていく。


俺は胸の高鳴りを抑えるため、深呼吸をしてから、お兄さんの後に続いた。


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