嘘つきな僕ら
合格発表
夏休みの泊まり込み合宿の効果が現れたのか、夏休みが明けて、一番最初のテストの結果で、守と俺、そしてタケはギリギリ桜坂の合格範囲内という結果を出した。
加藤もあとわずかで合格範囲内に滑り込みそうな勢いだった。
感動してるのも一瞬、俺たちはお兄さんの“合格以外の結果なんてあてにならない”、その言葉を胸に、二学期の間も塾、それから土日は彼女の家で受験勉強に奮闘した。
青春、そんな言葉に浸ってる時間なんて俺たちにはない。
そんな怒涛の日々を繰り返し、そしてあっという間に冬休み、そして三学期を迎え、最後の実力を見せつける時を迎えた。
『今日が最後、だな』
ずっと目指してきた桜坂の校門を前にして、守がそう呟いた。
『…俺、最後まで合格範囲内にギリギリ入ったり、入らなかったりで…今、すっげー緊張してる』
加藤の言葉に全員が息を呑む。
『それは、俺も一緒だよ』
タケの言葉に、守も俺も頷く。
『とりあえず、全力で試験に取り組もう』
守の言葉に、全員その場で頷いた。
守、タケ、加藤が一歩を踏み出し、校門をくぐる。
『…良之?』
加藤が振り向き、遅れて守とタケが振り向いた。
全員がクエスチョンマークを顔に並べる。
『…うん…
なんか今日でみんなで受験勉強に取り組む日が終わるんだなって…』
『良之…』
『守、タケ、それに加藤も、みんなありがとう』
今日で、受験勉強から解放される。
泣いても、悔やんでも、今日の試験で決まる。
でも、どんなに受験勉強が辛くても、苦しくても、それでもみんなが支えてくれた。
時にはライバルになることはあっても、みんながいてくれたから、くじけずに、今日、この日、俺はここに立ててると思う。
『お前さ、受験勉強は終わりだけど、これから試験だろ?』
守は苦笑いを見せながら、そう言う。
『うん、でも、みんなが桜坂を受けたい、そう言ってなかったから…俺、いろんなこと諦めて、きっと今頃違う高校の門をくぐってたと思う…。
だから、今日、この高校まで導いてくれてありがとう』
俺の感謝の気持ちが届いたのか、守もタケも加藤も照れ笑いでしていた。
『俺こそ、サンキュ』
『俺も、何度も桜坂無理かもって思ったけど、みんなが頑張る姿見て、俺も負けてらんないって思えた、本当にサンキューな』
『俺も、マジでありがとう』
全員がその場で感謝の気持ちを伝えた。
『覚えてるよな?
“俺たち、全員』
『『『春は桜坂!』』』
守の言葉に、タケと加藤、そして俺がそう叫んだ。
本当にみんなと頑張ってこれて良かった。
周りはみんな頭良さそうな顔をしてるし、不安な気持ちもある。
でも、絶対にここに合格してみせる。
俺らは笑いながら、受験会場へと入っていく。