嘘つきな僕ら
そして、今日は合格発表の日。
自己採点では結構いい線いってる、守も俺もそう思った。
タケと加藤は今も緊張してる様子。
でも、自分の数字があるかを見るまでは俺も緊張…
『あ、掲示板貼り出されてる!』
加藤の言葉に全員が掲示板の方に視線を向ける。
そこいらは俺たちと同じように合格発表を確認しに来た受験生で溢れている。
奇跡的に受験当日は彼女や瀬川さんと遭遇しないで済んだけど。
今日は…
『俺たちも行こうぜ!』
守の言葉に俺たち全員が一斉に歩き出す。
ドクン…ドクン…
掲示板に一歩一歩近づく度に、胸の高鳴りのせいで呼吸するのもやっとのこと…
『見るぞ』
人の波を掻き分けて、ようやくたどり着いた掲示板。
みんな自分の受験番号を確認して、そして守の言葉に全員合格者一覧に目を向ける。
一つ一つの受験番号を見て、自分の番号に近づく度に見たい気持ちと見たくない気持ち、その両端の気持ちに更に胸の高鳴りが大きく、そして早いものになっていく。
『…あ…』
最初に声を出したのはタケだった。
『…あった……』
次は守。
守の受験番号とは前後、つまり守の受験番号の下に俺のがあれば…
『………あった…………』
俺の受験番号がそこにあった。
一瞬にして俺の顔が喜びに溢れたものに変わっていく。
それが自分でも分かった。
『……あれ………ない……』
その横で加藤が絶望という顔で掲示板とにらめっこをしている。
俺は加藤の受験票を取り上げ、一つ一つ確認していく。
自分の受験番号を探すときより、緊張と不安が入り混じる。
俺の手元にある受験票の番号を守もタケも確認し、一緒に調べ始めた。
『あ……あった!あったよ、ほら、加藤もあった!!』
加藤も俺の言葉に掲示板をもう一度見つめる。
『ほら196!』
『え…俺197じゃなかったっけ?』
俺の隣で加藤が真面目な顔でそう答えた。
『バカ、お前196だよ!』
守がそう加藤に言う。
守の言葉に、加藤は掲示板の196という数字と、俺から奪い返した自分の受験票に書かれている196という数字を何度も交互に見た。
『…え……俺……受かったってこと?』
加藤の言葉に俺ら全員、感無量で言葉が何も出てこなかった。
俺たち、全員、桜坂に合格した!
『マジで?…え、夢じゃないよな!?』
加藤の言葉に守は加藤の頬をつねった。
『…いてて』
そう言いながらも加藤の顔は喜びに溢れていく。
『よっしゃー!!』
誰が一番に言ったのか分からない。
でも俺たち全員ほぼ同じタイミングでそう叫んでいた。