嘘つきな僕ら
Epilogue
『由ー莉ー!!』
彼女の笑顔を見れたのもつかの間、瀬川が大泣きしながら彼女のもとに走り寄ってきた。
『あ、バカ!』
その後にタケが続いて、そして守も加藤も俺たちのところに走ってきた。
『由莉!おめでとー!!』
瀬川は彼女に抱きつき、お陰で繋いだ手が外れてしまった。
でも、瀬川と彼女の本当に嬉しそうな、いや幸せそうな顔を見ていると俺まで嬉しくなった。
『良之、ごめんな~麻衣子が雰囲気壊して…』
タケは両手を顔の前に合わせ、何度も俺に謝る。
『いいって、喜んでくれる人がいるって、それは嬉しいからさ』
俺がそう言うと、タケは謝罪から解放されたのか、瀬川と同じように俺に抱きついてきた。
『良之、おめでとー!!』
タケのその言葉に続いて、加藤もそして守も“おめでとう”と言ってくれた。
受験に合格しての“おめでとう”なのか…
告白が成功したからの“おめでとう”なのか…
俺たちは分からなくなるくらい、抱き合って喜び合った。
『良之、おめでと』
一時はライバルだった守も本当に優しい顔をしていた。
『ありがと。俺、絶対大事にするから、この恋』
俺がそう言うと、守の片目が光ったように見えた。
『これで本当に俺の失恋だ、でもお前と由莉が幸せならそれでいい!』
守はそう言って、腕で目をこすっていた。
『由莉、幸せになれよー!』
守の言葉に彼女も首を縦に振った。
その様子にタケも加藤も瀬川も再び歓声をあげた。