クリスマスに泣かないように
そんなある日、タカシの誕生日が訪れた。
11月24日。
もちろん、私はタカシのために色々と用意をするつもりだった。
その日は月曜日で、私の“タカシの日”だった。
『ねぇ、タカシ、誕生日だけどさ――』
『あ、ごめんっ!俺その日、妻と食事で…』
初めてオクサンを意識した瞬間だった。
タカシは私の前では一切オクサンの話をしない。
ただ、おどけて笑って癒してくれるだけだった。
私よりオクサンの方が優先順位が高いのは当たり前だ。
わかってた、わかっていたはずなのに。
私は当日に彼の生誕を祝うことすらできない身の上なのだと、痛感させられた。
当日は、嫉妬に狂うしかなかった。
私の方が彼に愛されてる。
なのに、祝えないんだ。
愛しあってるのに、祝えない。
辛くて、苦しくて。
私の黒さがどんどん大きくなってきている。
耐えきれず、友人を呼び出してやけ酒を飲んだ。
『はあ?あんた今不倫なんかしてんの?』
『…ん』
『やめときなよ、良いことないよ?』