クリスマスに泣かないように


『…わかってるけどさぁ』

『で、このやけ酒は何酒なの?オクサンにバレた?それとも』

『本日相手の誕生日なの』

『…あー…』


こめかみに手を添えた友人は、私の頭をポンポンと叩いて。


『別れろ。今すぐ、絶対』


『っ、』

『あんたがいくら好きでもね、結婚できないの。
向こうには相手がいるの。

今それを実感してんでしょ?
こんなの、しょっちゅうなの。

ついで、セカンドや愛人、日陰の女ってゆーレッテル。あんたは傷物扱いされる』

『……』

『今は楽しいかもしんないよ?
けどこの先さ、クリスマスやお正月が来るたびに、あんたは孤独を味わうんだ。

家族連れを見るたびに胸を痛めるんだ』

『ねぇ、ちょっと…』

『私の姉ちゃんがそうだった。ちなみに、私の父親は不倫してた』



息がつまる思いだった。

一息で話したとは思えないほど、長く壮絶で。



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