クリスマスに泣かないように
『みなさんっ!テレビ局前のツリーが、今ライトアップしましたっ』
興奮気味の女子アナが画面一杯に移ったテレビ。
日曜日だしベランダに洗濯物を干してきた私は、それを目にして本格的に焦った。
『つ、ついちゃった…』
クリスマスツリーが点灯してしまった。
あれ。このままじゃヤバイんじゃないの?
このままじゃ、別れられないんじゃ…
『っ、』
また、体が勝手に動いた。
どたばたと床を踏み鳴らし、携帯をタップする。
土日の電話は禁止。
だから、メールである。
【話があるんだけど。明日の夜ちゃんと開けておけ】
月曜日は必ず会えるはずなのにそう打った。
なぜなら、今すぐ行動しないといけない気がしたから。
また逃げてしまう、先伸ばしにしてしまう
次はない。
【話がある】と送れば、その“話”を嫌でもしなくちゃならない。
あらかじめ逃げられないように、との意味も込めて送ったのである。