【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~
「さっさと歩けよ。」
斜め前を歩く、紅髪。
通学かばんをあたし側に持っている。
・・・警戒されてる?
あたしの頭の中にモクモクと
漫画風に紅髪の心の声をあてた文字が見えてくる。
By,紅髪の心の声(予想)
どうしよう。おれ
女と二人っきりであるくのは小学生(ガキ)いらいだ。
会話!気の利いた会話なんかねぇのか。
思いつかねぇ
情けねぇな、俺って男はよ
女を前にビビるとか
ッフ。
・・・
あれ?急に振り返ってこっちにくる
どうしたんだろ。
「あいた。」
いきなりパシンと叩かれる。
「なんで、ついて来ない。
こんな離れてたら送ってる意味ないだろ
もう、いい。かせよ」
そういって、紅髪があたしの手を引いて早足で歩いていく。
もちろん。沈黙のまま。
でも、そんな、沈黙も心地好かった。
バス停がみえてくる。
「ありがとう」
「おう」
バスに揺られながら、
そっと、目を閉じて今日の事を思い出していた
美紀とのこと。
悠貴とのこと。
紅髪達とのこと。