【完】翼龍 ヨクリュウ ~あたしとクールで腹黒な総長と~
急いで、電話をとる。
「はい。もしもし」
「もーしもーし!さなちゃん
げーん気ー?」
ゲ、幸。
いや。失礼だな。
仮にも・・・ほんとに仮にも
先輩だもんね。
あたしの、内心に気づいてんのか
気づいてないのか
ハイテンションで、はなしてくる。
「今どこ?
会いたいんだけどー」
「うーん。どっかの倉庫ですけど、それよりなんで涼の携帯使ってかけてるんですか?」
「えーー。俺からだと出てくれないかと。
涼からだって、ドキドキした?」
今後幸の着信は
絶対に出ないよ。
今きめた。
「おい。それより、用件を」
電話の向こうから直さんの声もする
「遅い。いつまで着替えてんだよ。
悠貴様が待ってんだっつてるだろ。」
用件が気になるけど、紅髪の声に遮られた
「悠貴って?あの、ドラゴンの・・・」
電話口から、幸の驚く声が聞こえる。
この際、無視だ。
「今いくー。
じゃあ、幸あとでね。」
叫んで、後半は電話口にささやく
携帯を切って、念のため
サイレントモードに切り替える。